安全管理
私は約30年もの長い間、造船現場の安全管理をやってきた。その間一度も部下の死亡災害に出くわさなかった。実にラッキーである。現場の安全管理にはハード手法とソフト手法がある。前者の手法による災害防止対策は何か。例えば落下防止の手摺を付ける、命綱が掛けられるように親綱を張る、もし墜落しても下まで落ちないようネットを張るなど。「フェールセイフ=間違っても安全、フールセーフ=馬鹿でも安全」な物理的対策を徹底的にすること。しかしそれには限度がある。人はミスをする動物だから、当然どこかにポカが出る。完璧な対策と思っても災害原因を究明すると抜けていた対策が必ず出てくる。一方ソフト手法による対策は何か。もっぱら安全に対する感性を高める教育、即ち危険を回避する行動が取れるよう訓練をする。危険予知(KY)活動がその代表である。これにも問題がある。いくら教育しても皆同じ感性を持つようには当然ならない。だから災害が起こる。従って安全管理はハードとソフト手法の組み合わせとなる。それでも完璧な対策にはほど遠い。だから、30年間一度も死亡事故がなかったのは、正にラッキーとしか言いようがない。
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