赤玉ポートワイン
赤玉ポートワインと言ってもワインの話をする訳ではない。船の話である。船はヘサキに向かって右側をスターボードサイド、左側をポートサイドと呼ぶ。そして船が航行する時、ポートサイドには赤色の灯火をスターボードサイドには緑色の灯火をつけるのが決まりになっている。それを覚える為の語呂合わせが、「赤玉ポートワイン」である。灯火を点けるのは暗い海で船舶がどの方向へ進んでいるのかを、他の船から見て分かるようするためである。例えば前方を航行する船があって、その船の緑の灯火が見えたらその船は右へ、赤の灯火が見えたらその船は左へ進んでいると判断する。赤,緑両方見えたらこちらへ近づいている。その時は双方の船が右へ舵を切って衝突を回避するのがルールである。前を横切る船の場合はお互いの距離とか速度を見ながら回避行動を決める。
今大きな事件として報道されているイージス艦と漁船の衝突事故で、イージス艦が漁船の緑の灯火を見たとか赤の灯火を見たと言うのはこのことである。
私も造船所に勤務した関係で船の試運転には何十回と乗った。坂出を出航して明石海峡を通り高知沖まで行く。その間に今回の事故のような小さな漁船には何十隻と出くわす。乗った船は23万トン級のタンカーだったからとにかくでかい。走り出すと直ぐには止まれないし舵を切っても大きく弧を描いて曲がるし・・・とにかく小回りは効かない。だから操船者は漁船には随分気を遣っている。その中でも特に注意を払わなければいけないのが、網を入れている漁船である。大きな船が近づいて来たからといって網があるのでそう簡単には動けない。だから見張り役は漁船が網を入れているかどうか、双眼鏡で何回も確認して船長に報告する。こちらの巨大船が回避行動を取る必要があるからだ。
今回の事故は報道を聞く限り、イージス艦に非がありそうだ。あの広い海の上であんな小さな漁船に、しかも真横から真っ二つに裂いて衝突したなんて、私の乗船経験からは想像しがたい。
タイトルに戻るが「赤玉ポートワイン」は明治40年にサントリーが売り出したワインの名前であり、その由来は、赤玉の赤い丸は太陽や日の丸とも共通しており「万物に命を育む太陽」に畏敬の念を抱くサントリーの創業者鳥井信治郎氏の想いが凝縮されているとの事。
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