釣り
昔々、磯の投げ釣りで30cmくらいのカレイを釣った事がある。神戸から地元の坂出に転勤になって間もない頃のこと。釣り好きの同僚が道具込みの磯釣りに連れて行ってくれた。ゴカイの餌を適当に付けて、同僚の見よう見まねで仕掛けを投げ入れた。始めてのこととて彼のようには遠くへは飛ばない。せいぜい10mくらいの先の海に落ちて底へと沈んでいった。時々しゃくれと言うから何回かそうしていたら、餌が手元にまで戻って来る。エサの無事を確かめてまた投げる。やっぱり10m弱しか飛ばない。それを何回か繰り返していた時、ぐっと手ごたえがあった。
釣りの爽快感は何と言っても魚がかかった時の手の感触にある。その手応えを確かめながらソロソロとたぐり寄せたら冒頭のカレイだった。これには同僚も驚いた。こんなに大きなカレイをこの辺で見たのははじめてと。魚拓を取っておけと言うので取り方を教えてもらった。しばらくそこら辺に転がっていたが、その内見えなくなった。
そのカレイがきっかけで釣りが面白くなった。会社でちょっとした釣りブームもあって、休日は3時頃から起きて鳴門へ船釣りに行くようになった。磯とは違って当時の鳴門は良く釣れた。バカでもチョンでも良く釣れた。正に入れ食い。今日はツバス、今日はカワハギ、今日はベラ釣り・・・と何回、鳴門に通っただろうか。一本の仕掛けに3本の針、その全てに魚がかかる。テグスをたぐり寄せるあの感触はたまらない。
さすが鯛釣りは難しかった。糸に小さな錘が数センチ間隔に付いている仕掛けで、それで底を探れと言う。鯛は底近くにいるらしい。何回やっても底は分からない。分からないまま当りが来た。急いで仕掛けをひっぱり上げたらタイが掛かっていた。桜色に輝いていた。海の王様と言われる鯛を釣ったのはこれが最初で最後だった。
年を追うごとに鳴門の船釣りも釣果が上がらなくなってきた。それで会社の釣りブームも下火になった。それ以降鳴門には行ってない。もう20年以上前の話である。
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