イイダコ釣り
会社の同僚が船を持っていると言う。瀬居島の漁師の息子さん。丸亀沖でイイダコがたくさん釣れるからと誘ってくれた。蛸釣りは餌が要らない。無精者にはもってこいの釣りだ。直径2cmほどの白やピンクのプラスチック玉に引っ掛け針が付いた疑似針。昔は曼珠沙華(彼岸花)の茎の皮を剥いて疑似餌にしたと聞く。
それを底に沈めて上下させるとその玉に蛸が抱き付いてくる。糸に伝わってくるその感触をたよりにぐっと引く。たまたま玉にしがみ付いた不幸なタコが針に引っかかり生活圏の違う世界に捕らえられる。
タコの当たりは魚のそれとは又違う。糸を上げ下げしているとじわっと重くなる。ちょっと間を置いてしゃくり上げるのがコツ。すると針にタコがかかる。その”間”が分かると面白いように釣れる。
エンジンを止めるといつの間にやら船は流され、だんだん当たりが来なくなる。するとベテランの船頭はすぐに船を動かしてポイントへと戻してくれる。タコは砂地にタムロしているらしい。
釣ったタコの足をもぎ取り、それをアテにビールを飲むのは至福の時間。蛸さんにはごめん。吸い盤が口の周りにまとわり付くのを、舌で舐め回して口に放り込む。海水の塩分がほど良く効いて美味い。
タコ釣りは後始末が大変。すみ袋を裂けないように取り出すのがベテランの技だ。私の同僚は慣れた手つきで手際良く墨袋を取り出していく。見事と言う他はない。私もやってみたが、案の定、袋がつぶれて墨が飛び散る。この墨の後始末がまた大変。
FRP製の滑り止め加工された凸凹デッキに付いた墨は乾くと取れない。だから直ぐに海水で洗い落とす。饗宴の後始末は何事も大変な裏方作業である。一緒にやるからとの申し出をいつも断れられて、ビニール袋に詰まった墨抜きタコを土産に、今日は楽しかったと家路に付く。
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