鳩
鳩が卵を産んだ。生んだ場所が悪すぎる。会社のベランダの排水口にである。卵を一個産んでから小枝やわらのようなもので、とてもお粗末な巣を作った。そして3日後にはもう一個卵を生んだ。鳩は必ず雄と雌の2個の卵を産むと言う。自分で確認した訳でもないし、鳩の雄雌の区別も知らないから真偽の程は分らない。
興味はこの卵、果たして孵化するのか???である。雨が降ると水はけの悪い排水口は水びたし。卵は水の中だ。あまりにかわいそうなので、排水口を掃除して水はけを良くしてやった。今の所大雨でない限り卵は水没しない。照る日も雨の日も夫婦で卵を抱く姿は何ともけなげ。どこやらの子育てを放棄する人間とえらい違い。心配は今までのいきさつから孵化するとは思えない事。
鳥と言えば子供の頃、親父がカナリヤや文鳥、セキセイインコ等を飼っていた事を思い出す。やけに立派な木製の鳥かごに入れていた。鳥の世話をさせられるうちに小鳥に興味がわいて、その後自分でも小鳥を買って来て飼育した。特に十姉妹(じゅうしまつ)はその名のとおり繁殖力が強く、つがいで入れておくと次から次へと卵を生んで増える。雛が自分で餌を食べ始めたら、親から分けるのだが遅れると見分けが付かなくなってそれは大変だった。単価が高い文鳥やカナリヤは繁殖が難しかった。神経質なのか、細心の注意を払わないと直ぐ抱卵を止めてしまう。繁殖に成功したのは一回くらいと記憶する。
小鳥に厭きて伝書鳩を飼い出したのは、中学生くらいの時だったろうか。納屋の屋根に手作りの飼育箱を作って、30羽くらいまで増やした。
鳩を解き放ち、群れをなして大空を舞うさまに心が躍った。彼らがまた私の家に帰って来るのも子供心に誇りだった。
そのうち田舎の事とて文句が来た。お前んちの鳩が稲を食い荒らしているから放すなと。この文句は効いた。村八分にもなりかねないから親父もどうしようも無い。
この鳩をどう処分したかはもう覚えてないが、殺しはしなかった。何処かへ引き取ってもらったと思う。
当時は飼い鳩しか見掛けなかったのに、今、鳩は何処にでもいる。会社のベランダに巣をした輩もそうだし、駅では鳩の糞害に苦慮している。この卵がもし孵化したら・・・と思うと複雑な気持ちになる。
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