さかいで昔話し(長者の宝くらべ)
さぬき昔話し・第2話「長者の宝くらべ」のお話。
昔、坂出には、城山長者と金山長者というお金持ちがいました。
城山長者は、城山のいろいろな薬草を作って、それを高松や大阪の薬問屋に売りさばいていました。
金山長者は、金山のふもとに住む網元で、とくに高価な金山鯛をとって、その売りさばきを一手に引き受けていました。
城山長者は金持ちでしたが、大変気持ちのやさしい人で、困っている村人には、田んぼの貸し料をとらなかったり、大きな災害があった時など、お金を出して山崩れや、池を直したり、道をつくったりしていました。
ですから、長者,長者といわれるほどには城山長者にはお金はありませんでした。
それに引きかえ、金山長者はもうけたお金で珍しい宝物を買い、それを入れる蔵が建てられているほどでした。
ある日、金山長者は「城山長者も、おれと同じように珍しい宝物を持っているに違いない。宝くらべを申し入れよう」と考え、使いを出しました。
城山長者は、「私は珍しい宝物など持っていません。宝くらべなどお許し下さい」と返事をしました。
ところが、金山長者は無理やり宝くらべをしようと、宝物を何頭もの馬の背に乗せて城山長者の屋敷の中庭に、長崎のオランダ人から買ったと言う赤いじゅうたんを敷きつめ、その上にこれ見よがしに宝物を並べました。
「城山長者よ!さぁ、さぁ、次はお前さんが見せる番だ」と大声でいいました。
城山長者は、幼い五歳ぐらいの孫の手を引いて、家から庭に出てきました。可愛い女の子です。
「私には宝物などありません。私にとっての宝物はこの子です。」
「孫が話をしたり、ちょっとした仕草に私はいやされます。日に日に大きくなっていくのを見るのが何よりの楽しみです。
子や孫にまさる宝はありません。」
それを聞いた大勢の人々の間から、それはそれは大きな拍手が起きました。
・・・ってな、お話。これって、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ、
銀(シロカネ)も金(クガネ)も玉も何せむに、優れる宝子にしかめやも
じゃ~ないの??? と、思ってしまった。
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