さかいでの昔ばなし(悪魚退治)
昔々、瀬戸内海に大きな魚がいました。この魚は、瀬戸内海を通る舟を沈めて積んである荷物を奪ったり、時には大きな口を開けて人々を呑んでしまったりしていました。この辺りの人たちは『大悪魚』と言って恐れていました。
「何とかしないと。安心して暮らしていけぬ。」
そこで、京にのぼって、日本武尊に悪魚を退治してくれるよう頼みました。
「ひきうけた。帰って力の強い若者を八十八人集めておけ。それと大きな舟を用意しろ。その舟のへさきで、かがり火がたけるようにするのじゃ。」
しばらくして日本武尊が、坂出にやってきました。
「えぃ!やっ!。」
さっそく、八十八人の若者に悪魚との戦い方を教えました。
ある日、用意された舟に武尊と八十八人の若者が乗り込みました。いよいよ悪魚との戦いです。
舟のへさきは、かがり火が赤く燃え上がっています。
「出発!」沖へ沖へと舟は進みます。
どれくらいたったでしょうか。あたり一面が暗くなり始めました。
その時です。はるか遠くの波が大きな壁のようになって押し寄せて来ました。
真っ黒い大波です。「がばっ-」
悪魚は大きな口を開けて舟もろとも一気に武尊と八十八人の若者を飲み込んでしまいました。
ここは悪魚の腹の中です。
-どくっ。どくっ。どくっ。-
武尊が気づくと周りには八十八人の若者が気を失って倒れています。
武尊は刀を抜きました。「えいっ-。」武尊は悪魚の腹を力一杯切り裂きました。
悪魚は大暴れです。しばらくすると静かになりました。武尊が出てみると悪魚が死んで横たわっています。
「やった-。やった-。」「武尊が悪魚を退治した-。」人々は大喜びです。
人々は西庄の泉から水を汲んできて、気を失っている若者達に飲ませました。八十八人の若者は生き返りました。そして、ご馳走を出して勝利を祝いました。
このことがあってから西庄の泉を「八十八(ヤソバ)の泉」、ご馳走を食べみんなで祝った浜を「御供所」と言うようになりました。
« 健康への道しるべ への投稿記事 | トップページ | 代々木公園 »
「昔ばなし」カテゴリの記事
- 坂出の昔ばなし(「蛸埼」のいわれ)(2016.04.06)
- さかいでの昔ばなし(与島の妙見さん)(2016.03.01)
- さぬきの昔ばなし(ぜんわん岩)(2016.02.28)
- 坂出の昔ばなし(大師泉)(2016.02.14)
- さぬきの昔話(おろくダヌキ)(2016.01.19)
コメント