冷え性の人が増えている By 豊岡 倫郎 氏
1.冷え症や低体温とは
これから冬本番になると、冷え症の人には寒さが一段と身に浸みる。実際にアンケートを取ると、8割近くの人が冷えで困っているという。また最近低体温の人が増えているという。以前は日本人の平均体温は成人で、36.6度、子供は37度位だった。ところが今は、殆どの人が35度台で、36.6度もある人は少ない。
では冷え症と低体温の違いは何か。冷え症の人は手足が冷たい、腰やお腹が冷えているという実感がある。一方低体温とはズバリ検温すると、35度台しかない。低体温イコール冷え症とは限らないが、相関関係があるという。
2.冷え症や低体温による体の不調とは
体温が一度下がると、免疫力が30%低下する。逆に体温が1度上がると、白血球も増えて、免疫力が数倍アップすると言われている。低体温でドロドロ血液となり、血流が悪く、新陳代謝が不充分で、酸素の供給も滞る。その結果肩こり、便秘、頭痛、腰痛、その他各臓器の機能低下が起きて、肥満、ガン、消化不良、うつ病、不眠症など何を発症してもおかしくない。
3.何故冷え症と低体温になるのか
冷え症にも色々なタイプがあるが、ここでは冷え症と低体温をひっくるめて、一般的に考えられる原因を列挙すると。
- 筋力の低下。体の骨格筋と心筋で全体の発熱量の三分の一を産生している。ところが現代人は交通機関やあらゆる分野での機械化が進み体を動かすことが少なくなった。
- 大食や偏食で宿便の停滞。詳細は後述。
- 毛細血管にあるグローミューという副血行路、通称バイパスと呼んでいるものが、大食、お酒の過飲、甘い物の過食によって、硬化したり、消滅しているために、血管の98%を占める毛細血管の末端まで血流が浸透しないため、全身の血流も悪くなる。
- 低血圧だったり、貧血だったり、栄養の偏りが有ると、末梢血管の血流が悪くなる。
- 甲状腺ホルモンの働きが低下している。
- 体内の水分量が不足していると、血液中のグアニジンが増えて、老廃物が排泄できず、寒さを感じる。
- ストレスなどで自律神経のバランスが崩れて、交感神経が昂進し血管が収縮し血流不良になる。
- 年中冷たい飲み物、ビールの摂り過ぎで体を冷やし過ぎる。
- 夏は冷房、冬は暖房と体が過保護となってしまい、皮膚機能が低下している。
- 服薬や食品添加物の多い加工食品の摂り過ぎで自律神経のバランスが狂っている。
- 足や股関節、骨盤、背骨が歪んでいるために、内臓の働きや血流が悪くなっている。
- 冷え症や低体温対策
1)即効対策
- 腹巻したり、靴下をはいたり、カイロをしたりして、足や腹を冷やさない。
- 肉を食べて食事誘発性体熱酸性作用を起こす。
- ショウガ、ニンニク、ネギ類、トウガラシを食べる。
- 10分間位ぬるめのお湯に浸かり、芯から体を温めると同時に副交感神経を優位にする。
- 就寝時に湯たんぽ、電気アンカをする。
- 冷たい飲み物、ビールは飲まない。体を冷やすような果物、野菜を摂らない。
- 体を温めるカボチャ、ニンジン、サトイモなどの根菜類、モロヘア、海藻類、ゴマなどを摂る。
2)根本対策
- 体の筋肉を増やす。体の筋肉の70%は下半身にあるから、スクワット体操をする。
- 乾布摩擦をして、皮膚を鍛えると同時に、リンパ液の流れを良くする。
- 西式健康法にある毛管運動をして、毛細血管を再生させて、体内の血液の流れを良くする。金魚運動と合掌合蹠法をして、背骨の歪みや股関節の歪みを正す。温冷浴や裸療法というのがあり、裸になって皮膚を冷やしたり、温めたり、交互に行なって、皮膚を鍛え、毛細血管の血流量を増やし、寒さ知らずの体にする。これら西式の諸療法はYouTube動画で見られる。
- 一日二食の少食にして、宿便や便秘を解消させると、脳の血管運動神経のマヒが治り、寒さや暑さの調節機能が正常となる。
- 食品添加物の多い加工食品や高脂肪高蛋白の過食、偏食を止めて、ビタミン、ミネラル、酵素の含まれた増血効果のある健康食に切り替える。
- アルコール類、砂糖類は摂取しない。
- ストレスを解消するための解決策を見つけて、実行する。
3)体質改善策
一般常識を覆す体質改善法がある。甲田光雄著「冷え症は生野菜で治る」文理書院発行にはその理論、実行法、体験談など詳細に書かれて
ある。その要点は一日二食にして、玄米と5種類の生野菜汁を摂取し、生水を1日に1リットル前後飲み、西式健康法の毛管運動、
金魚運動、合掌合蹠法、温冷浴、裸療法を実行する。すると宿便や便秘も解消し、消化吸収が良くなり、毛細血管も再生し、血流改善、
骨格も矯正され、自律神経も整い、皮膚機能も回復し、最終的には、綺麗な血液が全身を駆け巡るようになり、冷え症が解消する。
冷えているからと、体を温めるだけでは、冷えへの抵抗力がかえって弱まる。敢えて体を冷やす云われる生野菜を食べたり、裸療法など
すると、抜本的な体質改善が出来るのである。
4)その他の対策
- 漢方薬を服薬する。漢方ではその人の体質に応じて、漢方薬を処方してくれる。陽性体質か陰性体質か、実証か虚証か考慮し、陽性食品,陰性食品の選択など指導している。
- 指圧療法もその歴史が古く、冷え症に対する経絡やツボを刺激することで、対応している。
- 自彊術体操は体全体を31の動作で骨格、筋肉、呼吸、経絡、自律神経、内臓器官に調整と機能アップ効果で、総合的に健康体に導いてくれる。
5.まとめ
1)今一度復讐すると、宿便が溜まると、脳の血管が膨張し、脳が圧迫されて、脳の血管運動神経がマヒし、体全体の血管の収縮、拡張の調整が出来なくなるため、冷えるということ。
体には生命維持のために逆境に対抗する反発力が備わっている。手足を上に挙げて振ると、血液を流そうとして、毛細血管が再生されるとか、体を冷やす生野菜を食べると、冷えから体を守ろうとして、反発して、暖めるシステムを構築する。正に陰極まって陽となること。このふたつの原理は健康管理の盲点となっていて、一般に浸透していないのは誠に残念なことだ。
2)冷え症ばかりでなく、生活習慣病などで病んでいる人々の姿を拝見して、思うことは、そこには無知と慢心がある。間違った健康常識に捉われている人、体に悪いことは理解しているが、これ位なら大丈夫だろうと、見くびる態度の持ち主が多いのが問題ではなかろうか。
おわり
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