1.(続)間違った健康常識とは・・・前回の11項目に引き続いて解説する。
12)朝食を抜くと体に良くない。朝食を抜くと、頭脳の働きを悪くし、活力が抜けてしまう、肥満を招くから、3食しっかり食べなさい。
→これに対して、朝食抜きの2食主義の人達の理論的根拠がいくつもある。
まず午前中は排泄の時間である。体の生理の法則によれば、午前4時から12時までは排泄の時間帯である。腸や腎臓は体内の便や尿を
排泄するために活動する時間であるから、空腹が良い。そして昼の12時から20時までは、食物を摂り、消化、吸収の時間帯である。
夜の20時から4時までは、代謝によって細胞の入れ替わりの時間帯である。代謝とはある物質が化学変化して、全く違ったものになる
ことである。この代謝を阻害する行為は夜食と睡眠不足である。
人間の歴史は飢餓の連続で、体は対応して、飢餓に強く出来上がっている。少食になると、体内の眠っていた遺伝子も発現して、
病気にならず、長寿となる。実際に世界のいろいろな研究機関で、少食にすることで、アカゲザルやラットの長命化の実験が報告されて
いる。日本でも断食、少食健康法で有名な甲田光雄博士の多くの著書でも、例えば「朝食を抜くと病気は治る」マキノ出版発行で多くの
臨床報告が記載されている。
ただし朝食抜きの2食にするなり、少食にするときは、食べ物の質を吟味することが大事である。ただ栄養があるとか、これだけの
カロリーを摂らねばと、こだわってはいけない。必要なものとは、生命力が有り、ビタミンやミネラルが含まれているもの、即ち主食は玄
米、生野菜汁、大豆製品、海藻、ゴマは欠かせない。これが甲田光雄博士が治療食として、患者たちに勧めた食事である。普通の保険食
では、加えてキノコ、小魚、青魚、根菜類、みそ汁などである。
しかし現実はどうだろう。やれグルメだ、スイーツだと浮かれて、ハンバーグ、焼き肉、ラーメン、ギョーザ、パスタ、スパゲッティ、
白いご飯、白いパンに加えて、間食、夜食の過食が続いている。これでは生活習慣病が減るどころか、増加しているのも当然である。
13)お茶にはカテキンが多く含まれていて、ガンを予防する。→カテキンとはタンニンの一種で、抗酸化作用が有って、ガンを予防する
効果があると云われている。この話の発端は埼玉県立がんセンターが1986年から11年間に、県内に住む40歳以上の男女8500人を
対象に疫学調査を行った報告にある。それによると緑茶を一日に三杯飲む人の発ガン率を1としたら、10杯以上飲む人は0.54で、
約半分だったという話からきている。
ところが、その後東北大学医学部の川西正裕教授のグループは、緑茶に含まれる約40倍のカテキンを細胞に与えると、通常よりも1.5倍
~2倍DNAが傷つくことを報告している。
お茶にはカフェインが含まれている害として、不眠症、不整脈、脱水症状、胃の炎症、交感神経昂進などの弊害が出る。お茶はアルカリ性
の為に、胃液がアルカル性に傾き、ピロリ菌を増やすことになり、お茶を沢山飲むことが、必ずしもガン予防につながるとは
考えられない。
14)電子レンジを使って料理すると、手軽で便利である。→確かにその通りである。しかし電子レンジで処理したものは、食品が持っている
生命力を失くし、栄養価、酵素、酸素を失い、味も変わる。脂肪分は過酸化脂質に変わる。生命力を失ったものは命の糧とならない。
15)野菜は煮て食べると、嵩張らないし、柔らかくなり、多くの量を摂取できる。→確かに日本人の野菜摂取量は少ないと云われている。
しかし西式甲田療法で多くの難病患者の治療に貢献した甲田光雄博士が採用していた野菜の摂り方は、5種類以上を混ぜた生野菜汁である。
その訳は生の野菜には生命力がある。ビタミンやミネラルが変質しない。ドロドロにすり潰せば、嵩張らないし、食べやすい。
生きたものは生きたものに養われる、これが生物界の大原則である。
16)ヨーグルトや乳酸菌飲料はお腹の調子を良くしてくれる。→ヨーグルト飲料が一般に普及してからもう60年以上経った。特に最近は
色々なメーカーが新製品を開発して、「○○に効く」と謳って、その特徴を宣伝して、競争も激しい。あれこれ飲んでいる人も多い事
と思う。
ヨーグルトとは牛乳に乳酸菌や酵母を混ぜることで、発酵させたものを云う。最近は牛乳を使わずに、植物性の豆乳などを使ったものも
出回っている。
そこで本当に乳酸菌飲料は腸内環境を良くしてくれるものだろうか。主に大腸には約1千種の100兆個の細菌が生息しているという。
その内容は善玉菌が2、3割、日和見菌が6,7割、悪玉菌が1割程度で、バランスを保ちながら、腸内環境を良好な状態にしている。
ところが腸内環境に良くない影響を及ぼすもの、甘い物、肉類ばかりを食べていると、悪玉菌が増えてゆく。
ところで製品基準があって、乳酸菌飲料が製品1ミリリットルあたり、1千万個以上含まれていないといけない。そこで乳酸菌飲料メーカー
は善玉菌を増やすことが出来ると云って、例えば乳酸菌が200ミリリットルのカップ1杯分では、1千万個×200ミリリットルで、
20億個になる。しかし腸内の善玉菌の数を100兆個の25%として、計算すると、25兆個生息していることになるから、そこに
20億個の善玉菌を摂取しても、その比率は0.008%にしか過ぎないのである。新しく乳酸菌を摂取しても、数と質の種類によって、
腸内環境をどれだけ改善してくれるか疑問符が残る。また人それぞれ食生活が異なるし、どんな乳酸飲料がその人の体に合うかも
判らないし、菌が腸に定着しないという面もあるから、未知数なことが多い。そもそも日本人には伝統的な味噌、醤油、粕漬け、
糠漬け類が地方毎に存在し、食されているから、伝統食を無視できない。そもそも腸に悪い、悪玉菌を増やす甘い物、肉類の過食を
止めることが大切な筈。
17)糖尿病や高血圧などの疾患の人には運動不足解消の為に、1日1万歩の散歩が良い。→現代医学の治療法に確たる運動療法や食事療法
のマニュアルは持ち合わせていない。これが現代医学の治療の盲点となっている。
家庭電化、自動車の普及、農場や工場での機械化などで、現代人は体を使うことが少なくなった。そして運動しない人も多い。
長寿者を調査すると、皆、体をこまめに動かす生活をしている。運動不足は肥満を招くだけでなく、血流も悪くなるし、筋肉も退化
するし、内臓の働きも低下するし、骨格も歪んでくるし、酸素不足にもなるし、神経のバランスも崩れるなど、その弊害で加齢と共に
病気の発症を招く。ただ散歩をしなさい位の運動でどれ位効果が出るのだろうか。
英語の比較級に例えるならば、散歩はGood、Better、Best のGoodの程度の効果しか期待できない。やるならBestなことを実行
したいものだ。西式健康法では血流を良くするための毛管運動、骨格の歪みを矯正する金魚運動や合掌合蹠法が有るし、古来インド発祥
のヨガや中国の気功術、日本では大正5年に創設された自彊術体操は今でも多くの人が実践して、健康維持だけでなく、療法として成果を
上げている。私は28年間、この自彊術体操を毎朝15分間行っている。その効果は有酸素運動、必要な筋肉の維持、骨格の矯正、
血流アップ、酸アルカリの調和、自律神経の平衡、経絡の刺激し、上下、左右、前後の3次元の方向に体をほぐしてくれる。
しかし西式健康法や自彊術体操がある事を医者達は知らない。
2.まとめ
1)「無知は死を招く」という。2回にわたり、17項目の間違った健康常識について、説明したが、体に良かれと思って実行していることが、
逆に命を縮めていることの無いようにしたいものだ。
2)日本人には伝統的な和食がある。これが長寿国の秘訣である。欧米の高脂肪,高蛋白食の過食に走っている現実を反省しなくてはならない。
これでは生活習慣病は増加するばかりである。何故か、日本の現代医学の医療体制は食事療法を取り入れないのだろうか。
おわり
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