酸欠は万病の元 By 豊岡 倫郎 氏 2023年 9月29日
1.酸素の重要性
私たちは普段無意識に息をしているが、5分間も呼吸がストップすれば死んで
しまう。呼吸の仕方ひとつで、心身の健康は大きく左右される。
「たかが呼吸」と侮らず、ぜひ正しい方法を身につけて、健康度アップしよう!
2.酸素の重要な働き
1)酸欠は万病のもとと言われる所以
酸欠状態が続くと、内蔵が十分に働くことができず、生活習慣病などの病気の
原因となる。また酸欠状態では細胞の免疫機能が劣り、万病のもとにもなる。
酸欠は美容の大敵でもある。酸素が不足すると、せっかく取り込んだ栄養を
活かすことができず、お肌を老化させることになる。
酸欠人間はダイエットできないという。酸素は脂肪を燃焼させるが、酸欠状態
では、余分な脂肪を燃焼させることができず、体内に多くの脂肪を蓄えること
になる。これが有酸素運動が求められている理由である。
2)酸欠がガンの原因である。
ドイツのDr.オットー・ワールブルグ博士は「細胞を35%以上の酸欠状態に
すると100%ガン化する」 事を発見し、ノーベル賞を受賞した。
この原理を追求すると、細胞の一つ一つが酸素を大量に含んでいれば、
ガン細胞の増殖を抑え、制止することが可能ということ。
体内の酸欠をおこさせる原因として、一酸化炭素の問題がある。
フランスの医学博士ラオール・エストリポー氏は、ガンの原因を追求した
ところ、その一因が体内の一酸化炭素にあることを発見した。
その訳は喫煙や宿便の停滞などによって、体内に一酸化炭素が発生すると、
直ぐヘモグロビンと結合してしまい、酸素の細胞への供給が少なくなるため、
酸欠を起こす。だから喫煙者や宿便停滞者にガンが多いのも納得できる話である。
もと京都大学の医学部教授和田洋已の著書「がん劇的寛解」によれば食生活の
乱れから、脂質異常症、糖尿病、肥満などで、血管壁の肥厚や炎症が細動脈内径
が矮小化させ、白血球や赤血球が毛細管の末端に届かず、酸素が供給されず、
液体の栄養分だけが流れて、臓器や組織に供給されることになる。
これが組織のガン化の引き金となっていると。よく言われているように、血流の
悪いところにガンが発生する所以である。西式健康法に裸療法があるが、
これらは裸になったり、衣服を着たりを交互にして、皮膚を引き締めたり、
緩めたりすることによって、体内に酸素を取り込み、体内の一酸化炭素などの
毒素を排泄させることと毛細血管を再生させることによって、健康増進させる療法である。
3.呼吸の働き
我々は通常一分間に15~16回呼吸している。呼吸によって肺に入った酸素は肺胞から
肺胞毛細血管に取り込まれて、その大部分が血液中のヘモグロビンと結合して、全身を
循環する。そして体の各臓器や器官はヘモグロビンから酸素を受け取る。
一方各臓器や器官で新陳代謝によって発生した二酸化炭素は、血液中に取り込まれて、
肺に運ばれて、呼気と一緒に体外へ放出される。このやりとりをガス交換と呼んでいる。
最近の人は運動不足と姿勢の悪さ、ストレスなどから、呼吸が速く、浅くなってきている。
呼吸の速さは寿命と関係していて、ながーい呼吸は寿命もながーいといわれている。
ネズミは呼吸が速く、命は短い。ゾウは呼吸が遅く、寿命が長い。呼吸が速く、浅いと、
酸素が各臓器や器官に慢性的な不足を来たし、万病のもとなる。
4.呼吸法の種類
呼吸法の種類には「胸式呼吸」、「腹式呼吸」、「逆腹式呼吸」などが一般的に知られ
ているが、例えば、普通大人の男性は腹式呼吸をするし、女性は胸式呼吸をする。
女性は妊娠すると腹式呼吸が出来ないからだ。
腹式呼吸とは・・・一般的には胸郭(肋骨などからなる籠状の骨格)をなるべく動かさずに、
腹を出したり引っ込めたりすることにより横隔膜を上下させる呼吸をいう。
胸式呼吸とは・・・胸郭の肋骨についている肋間筋によって行われる呼吸で、
ラジオ体操の深呼吸のように肋骨を大きく広げて息を吸う方法をとる。
また激しい運動をした後のハーハー呼吸しているときが胸式呼吸である。
5.呼吸法の歴史的流れ
健康法に呼吸法を採用しているのは、インド、中国、日本など東洋だけである。
西洋にはない。また現代医学で呼吸法を治療法として、採用している綜合病院は聞いた
ことがないが、開業医ではいくつかある。
今から約2500年ほど前に、お釈迦様が悟りを開かれたときに、呼吸法の話が出ている。
お釈迦様の教え「大安般守意経」の中には、正しい呼吸こそは悟りへの道として、
呼吸の重要さについて話されたという。
また呼吸法といえば、必ず出てくるのが、白隠禅師の「夜船閑話」という書物に書かれ
てある丹田呼吸法である。白隠禅師が病に倒れたが、丹田呼吸法を作り上げ、健康を
回復した経緯は、村木弘昌著「丹田呼吸法」と言う本に詳しく載っている。
ヨガにしても、気功術にしても、健康法と呼吸法は切っても切れない密接な関係にある。
これは呼吸の仕方次第で、健康も左右されることを物語るものである。
指圧療法を受ける際にも、押されたときは、息を吐かないと効果がない。
座禅は宗教的な利用の仕方もあるが、精神療法の一環として普及したこともある。
座禅のひとつに明治40年代、岡田虎二郎によって提唱され、当時一世を風靡した岡田式
静坐法がある。他に
★調和道丹田呼吸法・・藤田霊斉提唱、村木弘昌医学博士、帯津良一医学博士が継承。
★二木式呼吸法・・・文化勲章受章した二木謙三医学博士提唱
★ヨガによる呼吸法・・・種類が沢山ある。★西野式呼吸法・・・合気術の西野皓三提唱
★瞑想とかヒーリング呼吸法・・・種類が沢山ある。★気功呼吸法・・・種類が沢山ある。
★正心調息法・・・塩谷信男医学博士提唱、呼吸しながら手を組み、念じる。
★自彊術健康法・・・中井房五郎考案の腹圧重視積極的呼吸法。
6.代表的な丹田呼吸法とは
1)昔から色々な呼吸法が考案されているが、ここでは代表的な丹田呼吸法の仕方をご説明する。
これは腹式呼吸で行う。丹田とは、臍の下約10センチのところをいう。
① 座ってでも、仰向けに寝た状態でもよい。
② 両手を重ねて、丹田に置く。全身の力を抜く。意識を丹田に集中する。
③ 呼吸は吸うのも吐くのも、鼻で行う。
④ まず息をゆっくり吐き出す。
⑤ 次に息をゆっくり吸い込む。吐き出す時間は吸い込む時間より長めにする。
⑥ この呼吸法を朝晩2回行う、最低呼吸は20回以上繰り返す。毎日続けることが大切で、
慣れてくると、30回、50回と回数を増やしてゆくのが良い。
⑦ 眼は閉じても、軽く開けていてもよい。心は無心の状態で行う。
2)この丹田呼吸法のバリエーション
上述のは一番簡単な丹田呼吸法であるが、その変形にはいろいろある。例えば
★呼気は口をすぼめてすーっと出す。★眼をつむり、自分の願いや目標などを念じる。
★呼気から吸気に移るとき、数秒間息を止める。★呼気のとき、意識して丹田を凹ませ、
肛門もすぼめる。★座って行う場合、呼気のとき上半身を少しかがめて、吸気の時
元の状態に戻る。★立てって行うのもある。★手を丹田に置かないのもある。
7.何故呼吸法が健康効果をもたらすのだろうか
★体内に酸素が豊富に取り込まれる。逆に二酸化炭素の吐き出しも通常の5倍にもなる。
★体内の血流が良くなる。体内の血液の半分は腹部に溜まっていると言われている。
病人になると3分の2の血液が滞っているという。
★血液がキレイになり、筋肉が柔らかく、伸びる。酸性の血液がアルカリ性になる。
★酸素は神経組織の栄養源となり、神経伝達がスムースになる。
★細胞の新陳代謝が良くなり、老廃物を排泄し、細胞を活性化させる。
★丹田に力が加わり、下腹の筋肉や腹圧強化や腹部マッサージとなり、胃腸、腎臓、
肝臓、膵臓などの働きが良くなる。
★自律神経の副交感神経の働きが活溌となり、高ぶった交感神経が落ち着くことによって、
不快症状が緩和される。要は自律神経のバランスがとれるので、免疫力が高まる。
★脳は大量の酸素を必要としているが、酸素が不足していると、ホルモンや酵素の
生成にも影響を及ぼす。呼吸法を実行すると頭から足まで、全身の血流が良くなる
のを実感できる。
★意識的に呼吸することは、心臓の働きを補助することになるから、血流が良くなる。
血圧が正常になる。
★脳から神経伝達物質のセロトニンが出る。いまうつ病対策として注目されている
のがこのセロトニンである。調息することで、調心と調身ができる。
★効果が得られる疾病としては、頭脳の疲れ解消、不眠症、うつ病、自律神経失調症、
胃腸病、不整脈、肝臓や膵臓の機能低下、頭痛、2日酔い、リュウマチ、便秘、
食欲不振、ストレス、老化防止、アトピー性皮膚炎、情緒不安定、疲労回復、高血圧、
低血圧、前立腺肥大、認知症予防など。しかしこれらの疾病や症状が発生した直接原因が、
過食、肉食過多、糖分過多、アルコールやカフェインの入った飲み物の過飲、
姿勢や骨格の歪みなどに起因している場合は、それらを解決することが先決である
ことは、論を待たないことである。
8.呼吸法の特徴
1)寝たきりの病人でも自分で寝たまま出来る。
2)場所を選ばず、寝ていても、座っていても、電車やバスの中でも出来る。
3)体に負担がかからない。疲れない、むしろ疲れを取り、精神的に充実感が得られる。
4)目が覚めているときは、意志の力でコントロールできる。
9.まとめ
心身一如という言葉がある。一日に5分でも10分でもよいから、寝る前でもよいから、
丹田を意識して、腹式呼吸を試みれば、自然治癒力も高まり、潜在能力も高まるだろう。
今までの自分を見直す良い機会となるだろう。
おわり
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