健康管理は知育、食育、体育の3育が基本 By 豊岡 倫郎 氏 2023年10月29日
- 健康管理はトータルシステム
哲学者の西田幾多郎は著書「続思索と体験」の中で書いている。「ただ1つの思想を知るということは、思想というものを知らないというに同じ。」と。今世の中には、あれが良い、これが良いと、健康情報が溢れている。ひとつ間違えば逆に健康を害することも、多いのではなかろうか。「群盲象をなでる」にならぬように心がけたい。生命体はそんな単純な営みではない。
- 知育とは
■ その1・健康情報
「無知は死を招く」という言葉がある。小学校から高校までに保健や生物の授業で体や健康について、教育を受ける。しかしそこで得た知識だけで以って、一生を健やかに終えるに知識に値するだろうか。答えは否である。今テレビや新聞、雑誌に出てくる健康記事は学校で習はなかったことだらけである。これでは知識も偏り、日々正確な判断を下せない。
■ その2、精神
「健全なる肉体は健全なる精神に宿る」という諺の通り、生き方、考え方が正しくないと、的確な判断や行動ができない。人それぞれ独自の価値観を持っているし、性格も異なる。「人を見て法を説け」とはこの事である。東北大学医学部教授辻一郎著「病気になり易い性格」という本によると、5万人を調査した報告から、百寿者に多い性格、ガンになり易い性格など色々書かれていて、自分がどんな性格か反省するのもよい事だ。
百寿者は皆ストレスを溜めない、明るい人達だというから、精神的に明るく、常に前向きでないと、健康を維持できないようだ。現代社会は子供から大人までストレスを抱えている。ストレスに負けない、また上手くストレスを解消する手立てをマスターすることも現代人に必要である。
■ その3.道徳心
人間も自然界の一員である。自然界の法則に基づき、生命体が営まれている。体に備わっている自然治癒力、免疫力、ホメオスタシス(生体恒常性維持機能)が働いているからこそ、生命を維持している。自然界の法則に逆らう不自然な行為が病を招くのである。
例えば大食、飲酒、喫煙、砂糖や塩分過剰、食事バランスの崩れ、過労、睡眠不足などは体の営みや摂理に異常をもたらす。無理難題を体に押し付けてはいけない。体をいじめてはいけない。
毎日大食すれば、消化器はそれらを処理するために、日夜酷使されて、悲鳴を上げているのである。体への労りもなし、食べ物への感謝の気持ちもなしでは、いつかは身を滅ぼしてしまうだろう。健康道徳とは自然界の摂理を守り、体の摂理を守り、自他共に命を尊び、感謝の心を抱くことである。
■ その4.生きがい
元津田塾大学教授で、生きがいの研究で知られている神谷美恵子氏が、その著書「生きがいについて」の中で、こんなことを書いている。「人間は自分が何かに向かって、前進していると感じられるときのみ、その努力や苦しみをも目標への道程として、生命の発展の感じとして、受けとめるのである」と。前向きな思考、生きる希望を失った時から老化が始まるのである。何か趣味を持ったり、ボランテア活動をしたり、人々と交わったりして、明日への希望を失わない事が体を元気にする。
3.食育とは
2005年に食育基本法が出来た。子どもから大人まで幅広い世代にとって食育を学ぶことは重要である。正しい食習慣により生活の基礎を築き、健康的で豊かな暮らしを営むという趣旨である。一度身についた食習慣を改めることは至難なことではあるから、子供の頃から身に付けることが大事である。
病気の7割は食の間違いに起因している。体の血液も、骨も、筋肉も、髪の毛も、毎日口から入れる食べ物から造られている。今あなたが食品スーパーで買ってきた買い物袋の中の食品が、あなたの命を支えているのである。
誤食という言葉がある。テレビや新聞、雑誌で毎日のように、体にあれが良い、これが良いと放送や記事が溢れているが、惑わされてはいけない。何が体に良い食事なのか、正しい判断が下せるように、知識を養い、食の重要性を改めて認識しないといけない。
■ その1
前述したように、大食、飲酒、喫煙、砂糖や塩分過剰、食事バランスの崩れなど、食の乱れが生活習慣病の原因となっていることを否定できない筈である。テレビを見ていても、周りの人たちの食事には、目を覆いたくなるほど、乱れに、乱れている。
政府は人生百年時代だから、70歳まで働けると都合の良いように、拡宣しているが、果たしてこれからの若い人達はとても百歳まで生きられそうには思えない。今百歳を超えた人達は大正11年以前に生まれて、伝統的な日本食で成長してきた。パンも肉も牛乳も甘いお菓子も食べてない。近辺で採れる魚や野菜と米を食べていた。正に「身土不二」の生活だった。車もない、仕事も機械化されない時代に働いて、体が鍛えられた。食品添加物の入った加工食品も無かった。彼らは戦後しばらくの間、少なくとも45歳ごろまでこんな生活をしてきたから、今百寿者になった人数が増えたのである。
■ その2
こんな話がある。当時上田市の教育長をしていた、大塚貢氏が荒すさんでいた中学校の給食を米飯、地産地消の魚と野菜をおかずにすると、みるみる非行やいじめが消え、成績もぐんと向上したのである。甘いものは血糖値の乱高下によってイライラしやすくなるため、心が不安定になる。食育は精神面にも影響を及ぼすのである。
4.体育とは
人間も動物である。体は動かさないと、筋肉はどんどん衰えてゆく。運動することによってがっちりとした、均整の取れた体格が生まれる。人間の体には206個の骨と640の筋肉がある。何ひとつ無駄な物はない。筋肉を鍛えていないと、内臓も、骨格も支えきれないため、内臓下垂するし、体も骨格も歪んで、内臓その他の機能も低下してしまう。血流も悪くなる。新陳代謝も低下し、病気を招く。老若男女を問わず、日頃から体操や運動を日課に取り入れてほしい。
高齢化社会の日本では、いま「フレイル」を防ごうというキャンペーンが盛んに行われている。その内容は、何時までも元気に活動できるように、筋肉が衰えないように、適度のタンパク質の摂取と運動を薦めている。一般的に運動の必要性を認識してない人が多い気がする。筋肉を鍛えると、アイリシンというホルモンが分泌されて、アルツハイマー病の予防になるという。
5.まとめ
1)日本人に合った和食が良い。一物全体食の生きた、生命力あるものを食べる。脂(あぶら)漬け、砂糖漬け、アルコール漬けの食生活を回避する。
2)生命体を維持するには、知育、食育、体育が三位一体となってこそ、健康が得られる。
3)「腹も身の内」という言葉がある。毎日毎日大食して、体をイジメない事である。病に陥るという事は、あなたは加害者でもあり、被害者でもある。「食を制する者は命を制する」
おわり
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