1、認知症の人が漸増
誰でもガンと認知症になりたくないと望んでいるが、どちらの病も加齢と共に患者数が増えてくるのが、現実の姿である。特に認知症になって、5年も10年も介護を受けねばならいと言うことは、本人も望んでいないだろう。なる人とならぬ人の違いは何か考えよう。
2024年現在、日本の総人口は1億2,380万人,65才以上の人口は3,624万人で、
比率は29・4%を占める。そんな高齢化社会の中、認知症の高齢者数は推計471万人を占める。
更に予備軍とされる軽度認知障碍者(MCI)の高齢者は564万人、合計1,035万人に達し,
なんと高齢者の29%が認知症(MCI含む)だ。誰も認知症を望んでいないだらうに。
2、認知症の種類
認知症になる人の割合は、下のグラフの通り、アルツハイマー型が68%,脳血管性型が
20%,レピー小体型が4%,その他が9%占めている。
なお軽度の初期の認知症をMCI(軽度認知障害)と呼ぶ。
3、認知症とは
① アルツハイマー型認知症とは・・・
アルツハイマー病は、認知機能や記憶力が徐々に低下する進行性の脳疾患で、
最も一般的なタイプの認知症である。脳内にβアミロイド斑や神経原線維変化
といった異常なタンパク質が蓄積し、神経細胞が損なわれることで発症する。
②脳血管性型認知症とは・・・
脳の血管障害でおきる脳梗塞や脳出血によって起こる認知症。
脳梗塞とは脳の血管が詰まって、脳の一部に血が流れなくなってその部分
の脳の働きが消えてしまう病気である。
脳出血は脳の血管が破れて出血し、その部分の脳細胞が溜まった血液に
よって押されて様々な症状が現れる。
③レピー小体型認知症とは・・・
脳の神経細胞に「レビー小体」という異常なたんぱく質がたまることで神経細胞
が減少し、認知機能の低下が起こる進行性の病気である。
④MCI(軽度認知障害)とは・・・
MCIは軽度認知障害と呼ばれており、50歳前後からβアミロイドの蓄積が始まり、
60歳ころから神経細胞が変質し、70歳ころから脳の海馬に病変が見られるまで
をMCIという。
認知症の前段階の症状には、例えば・・・
☆何度も同じことを質問したり、何度も同じことを話したりする
☆置き忘れや探しものをする頻度が多くなった
☆慣れ親しんだ家事・作業に時間がかかるようになった
☆社会的にインパクトが大きな最近のニュースの記憶が曖昧になっている
☆これまで楽しんできた趣味・人付き合いを避け、外出が億劫がるようになった
☆記憶力や集中力、注意力の低下はあるものの、認知症ほど症状は重くない状態。
本人は不安や焦燥を感じることもある。ただし、約5年でその半数以上が認知症に
進行すると言われる一方で、健康な状態に戻る人もいる。
⑤ アルツハイマー型認知症と脳血管性型認知症の混合型認知症がある。・・・
最近はどのタイプなのか、診断方法、検査機器の発達で容易に判別がつくように
なった。
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4、それぞれの認知症の特徴
① アルツハイマー型認知症・・・
段階ごとに現れる症状が変化するので、認知症全般の症状や進行について
解説すると。
(初期症状)
☆もの忘れ:
最近の出来事を忘れる、待ち合わせしたこと自体覚えていない。
☆時間の見当識障害:
昼夜、日時、季節の取り違えが見られはじめる。
☆実行機能障害:
計画立てて物事を進めることが困難になる。
☆近時記憶障害:
先週行った家族旅行の記憶がない。
☆日常生活の失敗が徐々に増える。
料理する際に順番を間違えたり、先週行った旅行の記憶
を忘れてしまったりする。アルツハイマー型認知症は軽度
の段階から記憶をつかさどる海馬が損傷するため、
もの忘れの症状が顕著。
(中期症状)
☆即時記憶障害:
ご飯を食べたことを忘れてしまう。
☆遠隔記憶障害:
自分の通った小学校の名前などパーソナルな情報を思い出せない。
☆場所と人物の見当識障害:
通い慣れたスーパーまでの道に迷う、知っている人が誰か判らない。
☆認知機能障害(失認・失行):
1人で着替えられない、お金の払い方がわからない。
☆失語:
物の名前が上手く出てこない
☆今いる場所や目の前にいる人がわからないなどの症状が現れる。
記憶に関する症状のほか、着替えやコミュニケーションに支障が出ることも。
☆本人的にも自信を無くしやすく、言語能力も低下するため気持ちをはっきりと
伝えられない。
☆無気力や抑うつ、暴言などの二次的な症状につながるケースもある。
(後期症状)
☆人の見当識障害:
同居する家族が誰かわからない
☆知的機能の重度障害:
靴を反対に履く、最近の出来事をほとんど覚えていない
☆運動機能の障害:
歩幅が狭くなる
☆弄便(ろうべん):
排せつ物を手で触ったり壁や床にこすりつけたりする
☆異食:食べ物ではない物を食べてしまう
☆日常生活全般においてサポートが必要になる。
言葉を忘れる失語の症状などが強く現れることでコミュニケーションが困難
になることも。
家族など介護者の負担も非常に大きくなるため、状況に応じて施設入居や
介護サービスの利用も検討しなければいけない。
② 脳血管性型・・・
障害を起こした脳の部位によって異なります。
具体的には歩行障害、手足のしびれ、麻痺、排尿障害、言葉が出にくい、
意欲低下、不眠、感情のコントロールがきかない等の症状があり、血管障害
の発作が起こるたびに症状が段階的に重くなっていく。
そのため、リハビリテーションや生活習慣の改善によって再発作を防ぐこと
が重要で、症状の進行を遅らせることになる。
③レビー小体型・・・
記憶障害や理解力・判断力の低下をきたす。
ただし病の初期から中期にかけては、記憶障害はあまり目立たず、
幻視・認知の変動・意識の変容・パーキンソン症状(動作緩慢・
筋強剛・姿勢反射障害など)・レム睡眠行動障害・抑うつ・自律神経症状
・失神などさまざまに症状が出現する。
5、認知症発症の危険因子
(1)糖化・・・
AGEs(終末糖化産物)のことで、体内の糖とタンパク質が結びついてできるが、
過剰な糖分摂取によりタンパク質が変性する「糖化」が、脳の機能低下し、認知症
の原因となる。
脳内のタンパク質が糖化すると、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ
が蓄積しやすくなり、神経細胞を死滅させることが知られている。
(2)活性酸素・・・
即ち脳は活性酸素によって傷つきやすく、これが認知症の原因の一つとされている。
活性酸素は、脳の酸化ストレスの原因となり、認知症のリスクを高める可能性が
ある。
尚糖化や活性酸素の発生防止については今まで何回も解説しているので説明を
省略する。
(3)飲酒・・・
過剰な飲酒はそうでない人に比べ5年早く発病する、と言う調査が有る。
(4)喫煙・・・
ヘビースモーカーはそうでない人に比べ2年近く早く発病する。
また飲酒と喫煙者の両刀使いの人は6~7年早く発症するという。
(5)睡眠不足
(6)大食、便秘、宿便停滞
(7)高脂肪、高蛋白の食事
(8)運動不足
(9)無趣味、孤独感を持つ。生きがいを持たない、進取の精神に欠ける。
これらは「廃用性の法則」が働き、脳が怠ける。いわゆる廃用型認知症。
(10)持病があり、薬を服用している。
6、アルツハイマーの治療
1)薬物療法として登場したのが、レカネマブやドナネマブがある。
どちらも軽度認知症に適用して認知症の進行を遅らせる作用がある。
完治させる薬ではない。副作用のリスクもある。例えば脳血管のむくみ、
出血や頭痛、めまいなどある。
2)ドナネマブの臨床治験例の記事あり。
2025年12月2日付の北國新聞(石川県)に掲載された記事は、
金沢大学付属病院の発表によると、ドナネマブ投与でアルツハイマー型
認知症の投与を1年間続けた70代女性患者の脳内からアミロイドβが
消失したことを国内で初めて確認した とある。
ドナネマブは昨年11月にMCI(軽度認知障害)対象に保険適用となり、
日本初の投与であつた。女性には副作用もなかった。
3)一般認知症の予防策
予防法には薬に頼るだけでなく、日常の生活習慣を充実させることが
大事である。
効果的な予防法は第4項目で列挙した項目の危険因子を解消することに尽きる。
7.まとめ
1)日頃共に生活していて、最近一寸この人おかしいなーと思ったら、直ぐ病院で診察
してもらうことが大切である。早く見つけて対処すれば、治せることも可能の時代
になった。
2)病気には必ず原因がある。90歳になってもボケない人がいるではないか。
身の回りに認知症になった人をよく考察したらよい。上述した危険因子を
もう一度思い返して、心当たりが思い浮かぶに違いない。
またこれを機会に、自分のこれまでの生活習慣を反省して診るとよい。
3)認知症の予防策は生活習慣の良否で決まる。認知症は生活習慣病の一種で
あるという認識を持とう。発症は15年前から始まっているのだから。
早いに越したことはない。「予防に勝る治療法はなし」
おわり
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